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(81/81)冊
サンタ・エクスプレス―季節風 冬
著者: 重松 清
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: 季節風シリーズ第四弾。普通に面白いのだが、「おっ」と思う短編はなかった。ちょっと寂しい。
関連本棚: 三代目平蔵
レッド・マスカラの秋 (ミステリーYA!)
著者: 永井 するみ
出版社: 理論社
評価: ★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: 女子高生・凪が探偵役のシリーズ第2弾。
ちょっとクールでハードボイルドな凪が結構好きだったのだけど、今回は割とフツーの女子高生になってしまって残念。
そもそも、ヤングアダルト小説ということで、作者自身が作品のクオリティーを下げて、平然としてしまっているように感じる。筋書き自体は決して悪いわけじゃないのだけれど、味付けが雑すぎる。
関連本棚: まーも 三代目平蔵
千住家にストラディヴァリウスが来た日
著者: 千住 文子
出版社: 新潮社
評価: ★★★
カテゴリ: ノンフィクション
コメント: 千住真理子さんがストラディヴァリウスを手に入れるまでの、神がかったノンフィクション。
著者はご母堂なのだが、ちょっと手前味噌に過ぎるかな、という部分もある。この話を筆力のあるノンフィクションライターが描いたら、もっと鮮烈なものになるのではないかと思う。
関連本棚: 三代目平蔵
大いなる聴衆 (新潮ミステリー倶楽部)
著者: 永井 するみ
出版社: 新潮社
評価: ★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: 婚約者を誘拐された新進気鋭のピアニスト・安積界。犯人からの要求は唯一つ、「ハンマークラヴィーアを完璧に弾け」。ハンマークラヴィーアは、安積の名を世界に轟かせた曲であり、また、前妻との間に儲けた愛娘の死ののち自ら封印した曲であった。犯人は何を目論んでいるのか…。
ミステリとクラシックが融合した一冊。犯人や犯行の動機については、前半であらかた予測がついてしまうのだが、音楽の女神に愛された者の残酷さや、ハンマークラヴィーアという曲の音楽史的立ち位置といった、仕掛けの部分が面白かった。
特に音楽についての描写が際立っている。ただのクラシックファンでは獲得し得ない音楽についての造詣の深さ。これは東京芸大に籍を置いていた作者ならでは。まさにオンリー・ワンのミステリと言えよう。
関連本棚: 三代目平蔵
われに千里の思いあり〈上〉―風雲児・前田利常
著者: 中村 彰彦
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史小説
コメント: どうもこの作者の女性観と私は相性が悪いのだが(お江与の方の気性が激しくて徳川秀忠が側室を置かなかったなんて、ホンマに信じているのだろうか?)、加賀百万石を磐石なものにした前田利常という人物に興味があったので読んでみた。
利常という人物は、もちろん天稟もあるのだろうが、それ以上に、非常に運が良い人だったことがわかる。
それにしても、利常の家督相続によって、忘れられた側室から一転「おふくろさま」になった利常生母の人生を思うと、心中複雑である。女性とはなんと切ない生き物であるか、と。
関連本棚: 三代目平蔵
駅神ふたたび
著者: 図子 慧
出版社: 早川書房
評価: ★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: 安定感のある「易」をモチーフにしたミステリ短編集第2弾。
易って何ですか、という私のような人は、懇切丁寧な解説が織り込まれた1作目から読むのがベター。
舞台廻しであるヘタレ大学生の章平君がやっぱり楽しい。章平君の妹が初めて登場する「妹の家出」が今回のベスト。でも彼、実は結構ハンサムなのでは…。
関連本棚: 三代目平蔵
黒百合
著者: 多島 斗志之
出版社: 東京創元社
評価: ★★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: この作家さんのファンなので、新刊が出ただけで舞い上がってしまう。
本の中に立ち込める独特の空気がたまらない。
戦後ほどない六甲が舞台のミステリ。ただ、今回は読者のミスリードを誘おうとする余り、蛇足な描写が目立つのが残念。
あの描写がなくても、私などはすっかり「してやられた」のだが。
関連本棚: 三代目平蔵 nozz2008
アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)
著者: 松本 仁一
出版社: 岩波書店
評価: ★★★
カテゴリ: 新書
コメント: 朝日の紙面で、この本の骨格になる部分は大体読んでいたので、既読感はあった。しかしそれを差し引いても、傑作『カラシニコフ』ほどの衝撃はなかった。
関連本棚: 隅っこ 三代目平蔵
ジョーカー・ゲーム
著者: 柳 広司
出版社: 角川グループパブリッシング
評価: ★★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: いわゆる仮想戦記ものの変化球。かつてのカリスマ諜報員である結城中佐が日本陸軍内に立ち上げたスパイ養成機関・D機関をめぐるミステリ。
スパイものが好きなら楽しめるはず。
関連本棚: ちう 三代目平蔵 kasta まーも ラ・マスカラJr.
少しだけ欠けた月―季節風 秋
著者: 重松 清
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: 四季をモチーフにした短編集の秋編。
それぞれの家族の一瞬を切り取った短編は、本当にうまい。
イチオシは太った男の子の葛藤をコミカルに描いた「ヨコヅナ大ちゃん」。私、彼の気持ちがわかります(食べ物が美味しいところとか)。
関連本棚: 三代目平蔵
駅神
著者: 図子 慧
出版社: 早川書房
評価: ★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: 易とミステリを大胆に融合させた快作。
関連本棚: 三代目平蔵
青に候
著者: 志水 辰夫
出版社: 新潮社
評価: ★★★
カテゴリ: 時代小説
コメント: これまでのような小説はもう書かない、と宣言していた志水辰夫が、まさか時代小説をものするとは思わなかった。(確かにこれまでとは全く違うジャンルではあるが…)
時代小説としては極めて凡庸な作品。ハードボイルドでもなく、青春小説でもなく、何となく中途半端な感が否めない。
関連本棚: 森乃屋龍之介 三代目平蔵
激流中国
著者: NHKスペシャル取材班
出版社: 講談社
評価: ★★★
カテゴリ: ノンフィクション
コメント: NHKのドキュメント番組を書籍化したもの。実際に放送を見たチャプターがいくつかあったが、単純に映像を文字に置き換えただけという印象が残る。放送を見たのであれば、特に読まなくても良いのでは。
関連本棚: 三代目平蔵
嫌妻権 (ちくま文庫―田辺聖子ロマンス館)
著者: 田辺 聖子
出版社: 筑摩書房
評価: ★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: 倦怠期の大阪のおっさんのぼやきを紡いだ小説。カリカチュア的だが、女の本性を暴いているのも見事。表題作と「おすすめ気晴らし」が気に入った。
関連本棚: 三代目平蔵
秘事
著者: 河野 多恵子
出版社: 新潮社
評価: ★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: 恬淡とした筆致が印象的な、一組の夫婦の物語。
関連本棚: 三代目平蔵
虚栄の肖像
著者: 北森 鴻
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: 天才絵画修復師・佐月恭壱が活躍するシリーズ第二弾。
収録されている三篇は、いずれも筋書きは悪くない。特に最初の表題作などは、ミステリとしては秀逸な出来。だが、いかんせん文章が回りくどすぎる。もう少し焦点の定まった文章で物語を読みたい。
関連本棚: 三代目平蔵
生還 山岳捜査官・釜谷亮二
著者: 大倉 崇裕
出版社: 山と渓谷社
評価: ★★★★
カテゴリ: ミステリ
コメント: 山岳捜査官が主人公の、「山」風味満点のミステリ。
いずれもこの作者らしいの救いのある結末で、嫌味のない読後感。
先行作品である聖域が大好評となってしまったため、しばらく「山」がらみの作品が増えるのかもしれないが、私、この人のトホホ系ミステリも好きなんです(例:丑三つ時から夜明けまでなど)。
できれば両刀遣いで突っ走ってほしいなあ。
関連本棚: 三代目平蔵
少年八犬伝 (名作の森)
著者: 小野 裕康
出版社: 理論社
評価: ★★★
カテゴリ: 現代小説
コメント: かなり昔に読んだ本。もともとは上下巻に分冊されていたものが、加筆修正の上、一冊にまとめられた。
一言で言うと、不思議な玉に導かれた小学生たちが権力と戦う物語なのだが、オリジナル版(?)とは結末部分が大きく変わっている。大風呂敷を広げすぎて収拾が付かなくなったオリジナル版は確かに瑕があったけれど、綺麗に収束させるために物語が妙にスケールダウンしたこの修正版と比べると、正直、前者の方が魅力があったように思う。
オリジナル版を★4つ、修正版は★3つとしたい。
関連本棚: さとほ 三代目平蔵
新・陰翳礼讃
著者: 石井 幹子
出版社: 祥伝社
評価: ★★★★
カテゴリ: ノンフィクション
コメント: 証明デザインの先駆者によるノンフィクション。障子の明かり取りの美しさを見直したくなりました。
筆者の足跡は、そのままライトアップという概念が日本に根付く過程と重なり、興味は尽きない。筆者の関わったプロジェクトをもっと写真入りで読みたいと思う。
関連本棚: 三代目平蔵
風の轍
著者: 岡田秀文
出版社: 光文社
評価: ★★★
カテゴリ: 歴史小説
コメント: 戦国の世を駆け抜けた女商人。この設定に胸をときめかせながら読み始めたのだが、この主人公のどこに商才があるのか(大博打に勝つのも商才のうちである)最後までわからなかった。大長編であるだけに、同性として、終始この主人公に共感できなかったのも辛い。
個人的に期待している書き手の作品だったので、何とも中途半端な出来になっているのが残念。信長の快進撃の添え物のように扱われる朝倉家滅亡を、丹念に描きたいという心意気は買うのだが…。
関連本棚: 三代目平蔵